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背広に想い馳せて。

TAILOR KONGの去渡で御座います。

最近、イギリスの食文化に関する本を読み終えました。

イギリス料理は不味いと酷評されますが、理由の一つとして、個人で味付けの変更を前提にされている品や、素材その物の触感がわからなくなるまで煮込むなど、特有の調理方が酷評される理由だそうです。

 

 

この章では、スーツの成り立ちに付いてお話しいたします。

スーツの原型は19世紀の英国で生まれたとされていますがおりますが、起源は更に古く、16世紀にまでさかのぼります。その起源は「フロック」と呼ばれる、ヨーロッパの農民が農作業や外出の際に着用した丈の長い服でした。この「フロック」が、上質な素材と洗練された仕立てを施されることにより、「フロックコート」と呼ばれる一般市民の外出着に進化していきます。フロックコートが誕生した18世紀、シャツ・パンツ・ベストに加えて、ネクタイを合わせるフロックコートスタイルが英国紳士の正装となり、スーツ三つ揃えの確立となりました。これが現代スーツの原型と言われております。

 

 

その後、朝の散歩用に歩きやすく前裾を大胆にカットした、モーニングコートや、乗馬用に改良されたテールコートが登場しますが、これらを貴族が着用したことで礼服化され、現在でも正装としての役割を果たしています。フロックコートもモーニングも、屋外着用を目的としたものでしたが、やがて室内でくつろげるようコートの裾が腿の中程までカットされ、現在のジャケットスタイルに近づいていきます。その代表がスモーキングジャケットで、当時の貴族たちが屋内で喫煙の際に、煙や灰から衣服を守るためにこのジャケットを羽織ったことから名付けられました。そのスモーキングジャケットは、ガウンを原型とする為、素材にはシルクやベルベットが使用されていましたが、このスモーキングジャケットが、後のタキシードの原型となります。そして、このタキシードが現在のスーツの起源と言われています。

 

 

スーツの起源・歴史には、上記のような英国貴族に由来するものから、軍服からの派生など諸説ありますが、いずれにせよ、その時代の背景に伴って少しずつ形を変えながら現在のスーツスタイルが確立されていきました。

今回は服飾史に触れました。スーツに限られた話では御座いませんが、服飾と言うのは当時の価値観や知恵などが、顕著に表れます、細かなデザインにも必ず意味が御座います。

その様な所に想いを馳せるのが、私は好きなのです。

 

 

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