こんにちは、tailor KONGの山本です。
今回は生地選びの重要さについてお話をしていきたいと思います。
生地の質感や素材によって着心地や見え方まで変わってきますので、是非参考にしていただきたいです。
【産地によって違う特徴】
イタリア
イタリアの代表的な産地はアルプスの恵みを享受するビエラ。横糸に単糸(糸が1本のみ)を使った生地が多く、柔らかくて滑らかな生地感です。
また、美しい光沢や上品な艶が高級感と品格を醸し出していて、色目が鮮やかなものが多いのもイタリア生地の特徴です。
しかし、しなやかな分繊細で、他の産地と比べる生地の強度はやや弱い傾向にあります。
イギリス
イギリスの代表的な産地はヨークシャーの恵みを享受するハダーズフィールド。生地を双糸(糸を2本よったもの)同士で織りあげられているので、ハリコシがあり、厚く硬めの生地が特徴的。
イギリスは寒くて湿気も多い地域のため、しっかりした地厚な生地でないとすぐよれてしまうことや防寒の面からも、肉厚な生地が好まれます。
スーツ発祥の地であるという点や、保守的である国民性からクラシカルで伝統的な色柄の生地が多いのも特徴です。
日本
代表的な産地は愛知県北西部に位置する尾州地域。木曽川と豊かな自然の恵みに育まれ、一大毛織物産地として世界中にその名が知られています。日本のスーツのルーツはイギリスのため、デザインだけでなく、生地も強く厚手で耐久性がありイギリスに近い特徴を持っています。
尾州の強みは、毛織物の生産工程である原毛を糸にする紡績、複数の色糸を一本にまとめる撚糸、染色、生地へと織り上げる織布という糸から織物として完成するまで、基本的に全てが専門企業による分業で行われているということ。腕利きの職人たちが各工程で高い専門技術を発揮し結集させ、上質な「尾州織」を作り上げているのです。
【目付の見方】
スーツに生地として使用されるウールの生地は150~155cm幅の生地がほとんどになります。
目付とは、150cm×1mあたりの重さのことを言い、品質表示の欄には、「250g/m」などと表示されます。
スーツの重さを決めるフィット感
スーツは一般的に上下で3.2m使用します。
オールシーズン用で「250g/m」の目付の生地を使用すると、生地だけでは約800gの重さしかないということです。
裏地とボタンなどをつけても1000gと少しくらいでしょうか?
このことからわかることは、スーツの生地が良いものだから軽く着心地が良くなるのではなく、それはフィット感によるものということです。
特に、ジャケットでは肩や、胸周りなどのフィット、パンツでは腰骨の上に乗るようなウエスト周りのサイズが重要です。
オーダーメイドの確かなサイズ感が、スーツの軽さを産み、快適さを得ることができます。
春夏生地、秋冬生地によって変わる目付
目付けによって、季節ごとに適した生地を見分けられます。
業界では、春夏生地の目付は240g以下、秋冬生地は260g以上とされています。
この間の目付、つまり250〜260gの目付がオールシーズンなどと表記されるのですが、生地の作られる地域によって、オールシーズンと呼ぶ目付が違います。
例えば、上でご説明したように、イタリア、ロロピアーナのオールシーズン生地、フォーシーズンズの目付は250g/mです。
一方イギリス、ハリソンズのオールシーズン生地、リージェンシーは、280g/mほどあります。
これは、イギリスが緯度が高く年間の気温が低いことから、イタリアに比べオールシーズンの目付の感覚が違うことなどがあります。
【生地を選ぶ3つのポイント】
生地を確認するうえで大切なことは「光沢」「柔らかさ」「ストレッチ性」の3つ。
これらのポイントは、スーツに仕立てた際の見た目・着心地につながるので重要です。ポイントを抑え、店頭では実際に手に取り、生地の特徴を比べてみましょう。
「光沢」
生地を手に持ち、どの角度で、どのような光沢がでるかを見ます。
仕上がりをイメージするために、テーラーに生地を当ててもらい確認をし、自身の肌と生地との色味の相性を確認しておくのもポイントです!
テーブルに置いた状態と、実際に着た感じとでは色の印象が違っているということもあり、トーンもあがるので、スーツばかりが目立ってしまうことになりかねません…
普段スーツを着るときと同じくらいの明るさの場所でチェックすることをおすすめします。
「柔らかさ」
良い生地は感触が柔らかく復元力に優れています。必ずスーツ生地をつまみ、柔らかさとシワがすぐに戻るかどうかを確認してみましょう。
打ち込みのしっかりした生地はコシがあり、柔軟性と反発力でしなやかに曲がり回復力が優れています。
コシのある良い素材を使った服は一晩ハンガーに掛けておくだけでシワも解消されるものです。
「ストレッチ性」
動きの多い営業マンがお客さま対応のためにスーツ姿で作業を手伝う場合など、ストレッチ性の少ない生地では、動きづらいうえスーツが痛みやすくなってしまいます。
スーツ生地はその織り方や混紡される素材で伸縮が若干変わり、一般的には綾織の方が、ストレッチ性があり、リネンやシルクを混紡(種類の違う繊維を混ぜて糸にすること)素材は少なくなります。
また、ストレッチ性を考慮せずに仕立ててしまうと、ベストなサイズ感にならないこともあるので注意が必要です。
【まとめ】
いかがでしたでしょうか?
是非参考にしていただいて自分に合う生地を探してください!
その他気になることあれば気軽に問い合わせください、お待ちしています!
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